大気のようなパスタ

食べ歩き ,

タリアッテレを口に入れると、噛むまでもなく、姿を消した。
天女の羽衣のごとく、軽やかに舞い、舌や喉の粘膜を撫でる。
「base」に感化された宮木シェフが、機械で伸さずに、手で空気を含むように、繊細に伸したパスタである。
大気のようなパスタであるから、濃密な香茸の香りとカカオの甘い香りを揮発させながら、消えていく。
これは夢なのかもしれない。
そう思わせるほどの甘美な時間が静かに流れていくのだった。
自由が丘「mondo」にて。