懐かしさと慈愛を抱擁した乳

食べ歩き ,

一口で食べた。
ラビオリの皮は、歯と歯の間でかすかな抵抗を見せただけで消えていく。
その瞬間、乳がこぼれた。
甘い香りの中に懐かしさと慈愛を抱擁した、乳が舌を包む。
食べた全員の顔が輝く。
豊満なる乳のうま味に唸る。
幸せチーズ工房ヨーグルトを使ったラビオリである。
かたわらの栗豆のズッパは、柔らかい甘みで、銀杏はほのかな苦みで秋を囁いた。

「ラ・ブリアンツァ」にて