京都の日常。
丼に入れられた冷やし中華は、初めてである。
でもこれが、実に食べやすい。
町中華の窪んだ平皿だと、混ぜるときに、具材が飛び出さないように配慮しながら、慎重に混ぜなくてはいけないが、丼だと、存分に混ぜることができる。
うどん屋らしい、醤油がやや勝ったつゆもいい。
朝一番で「みやこ食堂」に行き、かしわ水炊き」で、ビール小瓶を一本やつてから、冷やし中華にした。
昼は「殿田」で名物「たぬきうどん」。
出汁の良さが光る熱々のあんかけに、生姜の刺激とネギの香りが効いて、その優しさと強さのコントラストが美しい。
それを、やわやわのうどんとふわふわのお揚げがうけとめる。
なんてことはない普通の味の幸せに浸りながら、僕は少しだけ京都に近づいた気がするのだった。