「ひら」。「のこ」。「あぶら」。「にらせんべい」。

食べ歩き ,

「ひら」。「のこ」。「あぶら」。「にらせんべい」。
長野「小鶴」には、なんだか、さっぱりわからないメニューがある。
聞けば、ひらは豚の大腸であり、のこは直腸であり、あぶらはシロ(小腸)についてくる、キクアブラと呼ばれる、脂部分だけを串焼きにしたものだという。
そしてにらせんべいは、チヂミのような料理らしい。
串焼きのうち、最も危険性が高いのは、“あぶら”である。
この三種類のうち、ピントがあっている真ん中の二本がそうですね。
“あぶら”というだけあって脂の塊なのですが、その甘い香りとクニュッとした歯ごたえ、脂の溶け具合がよく、それが甘辛いタレと出会おうものなら、鼻息が荒くならざるを得ないのであります。
もう下品の極みというか、内臓を喰らい、栄養分を得ている本能感が体に充満して、上気してくるのですね。
こればかりを頼む常連もいるというが、あまり本数がないので、もう一本というのをぐっとこらえて、”焼鳥ならぬ“やきとり”に、明日も来ようと思うのが正しい。
そして最後は、「にらせんべい」のほのぼのとした味で心を座らせ、帰るのであった。