両国「ぼうず志ゃも」
天和二年創業。三百年の歴史ある東京で最古の鶏鍋屋。名は、船頭衆のけんかの仲裁をするために、坊主頭となっていた創業者に由来する。落語「船徳」にも登場することで知られる。
座敷。料理は八千四百円のコースのみ。鶏肉のマリネ、血肝焼き、鶏刺しと続き鍋となる。火にかけた四角い鉄鍋に、甘辛みの強い割り下を入れ、赤みそを少量溶きほぐす。煮立ってから、そぎ切りした鶏のもも肉、胸肉、丸めた叩き肉、白滝、葱を入れ、再びふつふつと煮えたところを、玉子につけて食べる。
江戸風の甘辛い味わいにからまった鶏肉を、しみじみと味わう風情は格別。