「ふくべ」

食べ歩き ,

「ふくべ」で独酌をする。
義理の汗が落ち、鈍色の悲しみが薄れていく。
隣の20代後半の若者たちが、仕事の話ばかりしながら、「熱いうちに早く食べてね」といわれているのにもかかわらず、カマス干物に箸をつけないことに、オジサンはイラつきながら、一人飲む。
くさやを、「臭い臭い」と(当たり前だろ)と騒ぎながら、まわし食べしている若者に、オジサンは、一人むかつきながら菊正の樽酒をやる。
最後の注文になるころ「ご飯炊きあがりました」と声かけられ、これは食べなくてはと考える。
名物は、鮭ほぐしご飯やイカ和えごはんだけど、ここはめざしを焼いてもらい、白いご飯を半分もらってほぐしためざしをかけて食べる。
これでまた、酒が飲めるってぇもんだな。