さりげなく暖簾を出す、都内屈指の定食屋である。
20席のカウンターは、昼夜八竹流定食を楽しむ人で賑わいを見せる。
シチューやフライなどから煮魚まで40種に渡る品々は、どれも吟味された素材の旨味をいかし、ごはんに合うおかずに仕立てる。
トマト風味のソースにチーズがとろりとかかった、肉汁たっぷりのハンバーグ。
程よく身がしまり、脂の乗った鮭をバター焼きし、和風のタレをかけた皿。
おろししょう油で食べさせる、滋味溢れるポークソテーなど、いずれもまた食べたくなるおいしさを持っている。
豚ロースソテー九百円
鮭バター焼き900円
牛ロース照り焼き2000円
無愛想な親父が二人でやっていた店だった。
店に入ってもいらっしゃいませも言わないどころか、「何しに来たんだ」と言い
友人がこの店で、「とろろ」を頼もうとして、「このとろろは、細切りのやつですか? おろしたやつですか?」と聞くと
おやじは何を聞くんだという顔をして、「うちは飲み屋じゃないから」と言い放ったという。
結局どっちかわからずじまい。
味噌汁が木の椀ではなく、分厚い陶器の小鉢に入っていて、飲みづらかったことを思い出す。
蜷川幸雄やキムタクも常連だったという
閉店