「漬けマクロ丼」と書かれた蓋を開けると、冷凍のマグロと酢飯が現れた。
大丈夫だろうかと思う。
酢飯と魚というタイプの違うものを、しかも質が高いものを、うまく解凍できるだろうかと不安になる。
その方法は、意外にも簡単だった。
マグロも酢飯も水で戻し、酢飯は熱湯で温める。
皿に持ったマグロの艶を見ただけで、嬉しくなった。
うむ。これは完璧ではないか。
酢飯に漬けダレをくぐらせた、赤身と中トロを乗せ、金ゴマを散らし、海苔を揉んで散らす。
添えられたわさびとガリを乗せて、完成である。
おお。もうこれだけで一流店で出される漬け丼ではないか。
たまらずかきこんだ。
ははは。笑った。
赤身のさわやかな鉄分の香りが広がり、漬けダレの旨みが追いかけ、酢飯が受け止める。
こりゃあもう止まらない。
よくここまで完成度を高めたものである。
やるね「やす秀」。