炊き込みご飯の概念が変わった。
精米したて、しかも薄皮を一枚残すという特殊精米の米の逞しさが、炊き込まれた食材と手を取り合いながら、踊る。
名人が握ったすしのように、ひとかたまりで口に入ったご飯が、舌の上で花弁のようにはらはらと舞い、一粒一粒の存在感を主張する。
米の個性を発揮する。
菜の花の茹で汁と菜の花、からすみと合わせたササニシキ系、日本でたった一軒の農家しか作っていない「かぐや姫」は、のどかな日本の原風景を伝えて、心を温める。
鰹だし、筍、桜海老と合わせた、丹後のコシヒカリは、もっちりとした中にみやびな甘みを広げる。
そして、鶏、インカの目覚め、人参と合わせたミルキークィーンは、野生を感じさせる複雑さを滲ませる。
代々木上原「おこん」。今年訪れた店の中で、最大の驚き。