ガス台が、こちらにどうぞと傾いている。
お兄ちゃんが、点火し熱し、コク塩まぶした肉を乗せ始める。
赤(中落)にマルチョウ、アブタン(豚舌付け根)にタンコリ(豚喉つけ根の軟骨)、ツナギ(首)。
牛と豚のせめぎ合い。風変わりな呼び名は、京都出身の証なのか。
お兄ちゃんがやたらトングで抑えるのは、気に入らんけど、目前の煙と音が胃袋鷲掴み。
やがておかわり自由のもやしのせ、ネギのせて、薄茶のコク塩ダレのせて完成だ。
コク塩ダレつけて食べりゃ、下品の品格ここにあり、
明日は誰とも会えぬ、ましてやキスもできぬ(する予定は皆無だが)。
生ニンニクが、これでもかと効いて、匂いと刺激でクラクラや。
シコ、コリッ、クニュっと、食感織りなす肉を食べ、すかさず酒を煽る。
味の強さを酒で消し、強烈なる香りをもやしで緩和する。
必死の形相で食うと、鍋が替えられる。
お次は、黒ダレのご登壇。
アブシン(豚心臓)にホソ(豚小腸)。頰肉(豚こめかみ)にアカセン(ギアラ)がやってきた。
黒ダレに浸かった肉をまた、抑えながら焼くお兄ちゃん。
タレと脂が流れ出て、鍋の隅から黒ダレの器に滴り落ちる、という仕組みが面白い。
さあこれはもっと味が濃い。
見た目は焼肉というより、どて煮やん。
甘く辛く、ニンニクも脂も効いて、白ご飯で受け止めにゃ無理かもと思いつつも、おじさんは焼酎で受け止める。
濃いタレを酒で流す。そこがいいのかも。
さてシメは、うどんかそば。焼きそば研究家(いつからなったんだ)としては当然そば。
鉄板で炒め、黒ダレ投入混ぜ後、生卵をぽとり。
ああなんて下品で濃い味なんや。こりゃ酒でも消せません。
これで一人2800円のコース。豚と牛の焼肉とはいえ、若い奴らには救いの神。
まあおじさんは、どうも釈然とせず、「ゆうじ」で口直し。
ホルモン千葉@渋谷
みなさん朝から、濃ゆうてすんません。
ガス台が、こちらにどうぞと傾いている
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