ずわい蟹は、アボカドにくるまれて幸せそうだった。
アボカドの個性が出過ぎないように、果肉のコクがそっと蟹を持ち上げるように、精妙に計算された薄さで、蟹を包む。
蟹の甘みがアボカドと出会って、艶っぽく微笑みかける。
キャビアの塩気が優しい甘みを支え、舌をくすぐる。
繊細に、巧みに組み合わされて生まれた調和は、なにごともなかったように自然で、美しい記憶だけを舌に残して去っていく。
我々のできることといえば、目を閉じ、うなじを少し後ろに倒し、
うっとりとした顔で、会食者たちとほほ笑みを交わすことだけだ。
銀座「レカン」、「ズワイ蟹とアボカドのカネロニ見立て キャビアのコンビネーション」