東京とんかつ会議18とん太
高田馬場「とん太」の特ロースカツ定食2100円
<肉3、衣3、油3、キャベツ2、ソース3、御飯2、新香3、味噌汁2、特記白身魚フライ1 計22点>
高田の馬場に働き、住む人は幸せだ。「成蔵」と「とん太」という、東京でも屈指のとんかつ屋が二軒もあるのだから。
とん太は駅から5分。大通りに面してはいるが、周囲には飲食店などない場所に店を開く。しかし昼は、どこから来たのか次から次へと、お客さんが押しかける。学生、サラリーマン、ご老人のご夫婦。老若男女が一心にとんかつを食べている姿は、もうそれだけで楽しくなってくる。想いをためてきたのだろうか、昼の千円の定食ではなく、一人で豪華に2100円の特ロースカツ定食を食べているサラリーマンも多く、頼もしい。
低温からじっくりと揚げられるとんかつの衣は、中粗で淡い狐色。油切れも見事で、サクッとした食感も心地よい。肉の断面を見れば、しっとりと肉汁が滲み出て、中心部をロゼに残した仕事である。
なにもつけずにそのまま食べれば、衣が軽く、肉は優しい甘みに満ちていて、きめ細かい。後味も良く、上等なお菓子を食べているような感覚が湧き上がる。次に塩を漬ければ、甘味がいっそう際立つ。
自家製ウースーターソースは、甘味が勝ちすぎず、酸味や旨味のバランスがよくキレがよく、カツの甘み、衣の旨味と出会い、また別のうま味が膨らむ味である。
胡麻と小さなすり鉢が用意され、多くのお客さんはここにそいーすを入れて漬けて食べる。それも悪くないが、ソースはソースだけで食べた方がよりおいしく、胡麻は塩と混ぜ、カツに振って一興とするのがいいだろう。
キャベツ、ご飯、特ロースカツは、しじみ、豚汁、わかめから選べる味噌汁も申し分なし。特ロースカツの新香は、キャベツと人参、大根、蕪、胡瓜で、浅漬けながらとてもおいしい。
白身魚のフライは、おいしい甘みをしっとり残したまま、さくりと揚げて上出来