トマトのうま味がバイ貝の滋味を、静かに支えるソースは、ストロツァプレッティの一本一本と抱き合い、僕らの心を笑わせる。
バイ貝は滋味を出し切っているのに、固くない。
ソースの量もこれ以上でもこれ以下でもない。
あるいはラグー。
タリアッテレにからんだボロネーゼソースは、少しも威張っていない。
つまりうますぎることなく、優しく麺と馴染み、しみじみとしみじみと「うまいなあ」と呟かせる。
そしてホロホロ鳥のトルテッリは、バターとチーズで粘度を増したソース、トルテッリの柔らかさ、中に詰めたホロホロの食感が同化して、舌の上で消えていく。
はかなさと豊穣をはらみながら。
さらにトマトソースのスパゲッティは、乾麺ながらも、ソースによって麺自体を甘く感じさせる不思議がある。
ここにもおそらく、にぎり寿司の精神と同じ、「合一」という料理の真髄が貫かれているのかもしれない。
白山「ダディーニ」のパスタ。
白山「ダディーニ」
「合一」という料理の真髄
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