鮎は意外にしたたかである

日記 ,

鮎は意外にしたたかである。
日本料理だと、塩味だけが多く、フレンチやイタリアンでも、淡い味のソースが合わされる。
しかし本当は、「僕らもっと逆境にも耐えるしたたかさがあるんだよ」と、思っていた。
そのことを「南三」で知った。
「火鍋醤烤鮎」。鮎のコンフィ火鍋ソースである。
弱火でじっくり揚げられた鮎が、辛く香り高く痺れるソースにまみれている。鮎大丈夫か? と思った。
食べるとどうだろう。
コンフィによってしっとりと身の旨味を凝縮させた鮎は、この強烈なソースに負けていない。
辛い味によって、逆にそのほのかな甘みを輝かせている。
ならばもっと虐待してみよう。
鮎をグシャグシャに潰し、ソースを合わせてみた。
おお。いけるではないか。
潰されてもなお鮎の風味があって、それが火鍋ソースと見事に抱き合うではないか。
ご飯が欲しい。切にそう思った。
辛く様々な香りの中でひっそりと息づく鮎の淡味を、熱々ご飯に乗せて掻き込みたい。
荒木町「南三」にて。

「南三」の他の料理はは別で