酒そば

食べ歩き ,

そばは、酒に浸かって、手足を伸ばしていた。
まずは粗挽き十割そばに、塩をかけて手繰る。
次に蕎麦つゆにつけて、手繰る。
そして酒そばである。
地酒「東一」に、とぷんと潜らせてから、そばつゆに浸けて手繰るのである。
するとどうだろう。
そばの香りが酒の甘い香りをまとって、たおやかになる。
そばつゆの味がまろやかになりながら、そばに優しく寄り添う。
そばがちょいと酔っぱらって、上機嫌になっていく。
だから食べる人間も調子よくなって、愉快になる。
有田の窯元 乃利陶窯 樋口憲人氏の自慢のそばである。