豆が自信ありげに笑っている。
小さき体を満たした甘みと香りを解き放ち、ケラケラと笑っている。
一番出汁に薄口と塩で味付け炊いたご飯も、主役は誰かをわきまえて、優しく見守りながら、微笑んでいる。
うららかな陽だまりで、天に向かって伸びゆく豆の屈強なる意思が、ううむと、我を唸らせる。
これこそが「豆ご飯」と言うのだろう。
人間の手で作られているのに、人間の手が及ばない、圧倒的な健やかさがある。
この豆ご飯には、小西瓜の奈良漬け、源五兵衛の痛快な歯触りと濃密な味が対比をなして、実にいい相性を見せるのだな。
「祇園浜作 本店」にて。