神様

食べ歩き ,

神様 蛇をいただきました。
麦酒の中瓶ほどあるでかい蛇だそうです。
大きいゆえにスープだけで出なく、揚げ物でもいただきました。
上湯と蛇の骨でとったというスープは、優しさの中にうかがい知れない奥味があって、ああこれはこれはと思い進むうちに、体に吸い込まれていきます。
そこには上湯の品格だけではない、体の芯に火をつけるような滋味が潜んでいて、コーフンを呼ぶのです。
蛇につきまとう、猟奇や異質感、精神の暗がりなぞ微塵もない。
牧歌的な暖かさと緩やかな気品が漂うのです。
バイマックルーと菊の花の香りが、スープに情緒を与えて、笑うことしかできませぬ。
揚げの方は、大蒜、生姜、葱の微塵切りに、時にパン粉を混ぜ、生の唐辛子の微塵なども加えて、辛味、風味を増した「避風塘」スタイル。
以前いただいた蛇は、優しい豚バラ肉のようでしたが、この蛇様は、鶏肉と鶏ハツの間のような味わいといいますか、鶏ささみ肉にほんのり鉄分が加わった味わいなのであります。
がっしりした体と骨からは想像できぬ肉の少なさは、この生物のがアスリートであったことを思わせました。
ああ、神様、なにか罪深きしたことをしたような気がして、懺悔してしまったのですが、どうやらそうではないようです。
命をおしいただくというありがたみを、しみじみと感じました。
それは蛇からの啓示だったのでしょうか。
「おらおらおらぁ燃えんかい」と、食べたそばから、体が火照ってくる。

 

赤坂璃宮 銀座店