カウンター10席。親子三人で営む、どの街にでもありそうな中国料理店ながら、夜は、全国から吟味した食材を駆使して、親父さんが変幻自在に調理する高級中国料理店となる。多くの食通を魅了する。
一方昼は、息子がシェフ。都内一流中国料理店での修業後、お父さんお店を手伝い、さらに北京で二年修行した腕で、各種料理を作る。
メニューは湯麺や焼きそば、中華丼などのご飯類と多彩だが、客の九割が炒飯を頼む。
巧みな鍋のさばき、見事な調味料づかいで作られるは、「五目チャーハン」850円と「海老チャーハン」1050円。
チャーハンを口に入れると。米は微かに焦げたラードの香りをまとい、はらはらと綿毛のように踊る。まずその香りに、食欲を鷲津検見にされるは必至。はらりと炒められながらも、一粒一粒がもっちり甘い米に、思わず笑みがこぼれる。
米の豊かさ、米本来のおいしさがそのまま出た、米への敬意が深い炒飯で、いつまでも噛み締めていたくなる炒飯でもある。。
米のうまさが染みて、心が優しくなりながらも、レンゲを口に運ぶ速度が加速して、一気呵成。瞬く間に皿は空っぽとなる。
海老をいったん揚げて炒め合わせ、食感の対比が楽しいを、海老チャーハンもお奨め。