灰色の味

灰色の味がする。
この鶏を食べると、いつも思う。
たぎるような血の味と燃えさかる筋肉の味が、ぐっと歯に食い込むと、奥底から灰色がゆっくりと顔を出す。
それは野生の証であり、旺盛に餌をついばんできた命の証でもある。
だから灰色を感じた瞬間に、鼻から息が「ふんっ」と出る。
コーフンが体を駆け巡る。
そこへサルミソースが加わっって、夜を怪しくする。
これこそがフランス料理の官能である。
「シェ・イノ」 「ペルドローグリ サルミソース」。