金沢「片折」 湯豆腐を囲む人は、無口な人がいい。 2023.12.25 食べ歩き , 和食 , 割烹 , 石川 , キノコ , 豆腐 , 鍋なべなべ Tweet 炉の冬の とどのつまりは 湯豆腐の あわれ火かげん うきさかげん 月はかくれてあめとなり あめまた雪となりしかな しょせん この世は ひとりなり 泣くも笑うふも 泣くも笑うふも ひとりなり。 たる源に作ってもらったという、特製湯豆腐桶を前にして、久保田万太郎のうたを、心のなかで唱える。 熱々の湯豆腐を、そっと口に滑り込ませる。 湯豆腐を囲む人は、無口な人がいい。 それぞれが湯豆腐へ人生の思いを移しながら黙々と食べ、酒を飲む。 そうありたい。 人生の悲哀と温情が豆腐に染みていた。