鍋の季節ですね。
世の中には様々な鍋がありますが、水炊きは歴史が古く、1643年の「料理物語」に記述があり。元々は「南蛮料理」の名で長崎の家庭料理として広まり、博多に伝わったと言われています。
ここ「玄海」も昭和三年に九州出身の初代が始められた、博多水炊きの店です。
玄関で老下足番に靴を預け、階段を上がって、大広間でゆったりと食事がいただけるのがいい。
やがて鍋が運ばれてきます。
蓋を開けると白濁したスープから、ほの甘い湯気が上がって顔を包む。
福島県産伊達鶏のガラを白濁するまで炊いた、創業来のスープをまず一口飲む。
熱々のスープがとろんと舌や口腔を舐め、優しい滋味が広がって行きます。
そして具は、鳥もも肉とつくねのみという潔さで、鶏肉を集中した欲しいという店の思いが伝わってきます。
ポン酢にスープに少し入れ、鶏肉をつける。
よく運動しただろうなあという肉が、歯の間で躍動します。
あるいは鶏肉をそのまま食べて、スープを口に流し込むのもいい。
つくねはふんわりとやさしく、気分が緩やかになる。
次に蒸してペーストにしたニンニクをスープにいれると、スープにぐんとコクが出るではありませんか。
こうして雑炊まで幸せが続くのです。
みなさん、体の芯から温まる、優雅な時間を楽しみにいらっしゃいませんか