松濤「オステリアアッサイ」

食べ歩き ,

松濤「オステリアアッサイ」を勝手に救済。
いかにも誠実そうで、あまり商売には長けていなさそうなシェフが、丹念に作り上げる料理がいい。
この日はメインに「オーソブッコ」。
最近では見かけなくなったミラノの郷土料理だ。
ミラノに忠実に仔牛を使ったそれは、仔牛ならではの穏やかな滋味と柔らかな味ワイのゼラチン質が、野菜の優しい甘みと見事に調和する。
大向こうに見栄を張った味付けではない、郷土の素朴なうまさを見つめた料理は、心を温める。
この味わいなら、グレモラタはいらないね。
地味ながら、こういう料理を大切にするシェフを応援したくなる。
店は客の入りが半分というところ。
「白いかとポルチーニのニョッキ」の互いの食感の計算とブロードの出過ぎない調味、
「マイワシのリングイネ」のシチリア風を踏襲しながら、自からの考えでマイワシの風味を生かしたパスタも、うまい。