東京とんかつ会議第61回 代々木上原「武信」ロースカツ膳(2160円)

とんかつ会議 ,

東京とんかつ会議 第61回 代々木上原「武信」ロースカツ膳(2160円)
【肉3衣2油2キャベツ2ソース2御飯2新香3味噌汁2 特記なし 18点

地元客に愛されているとんかつ屋である。夜に伺うと、サラリーマンや学生、女性客、家族連れと、多彩なお客さんがとんかつを楽しんでいた。一階がカウンター席中心、二階がテーブル席となっている。サービスも溌剌としていて実に感じがいい。酒肴も少し用意されており、カツ前を楽しむ客も多いようである。
千葉県産SPF豚を使ったという肉は、きめ細かくしっかりとして優しい甘みに満ちている。また脂もしまって噛むとほろ甘く溶けていく。衣はさくっと揚がっているが、大分粗く、際立っている部分とそうではない部分があって、この肉にはより細かくしたほうが、肉を生かすと感じた。ロースカツ膳に加え、エビフライトカキフライもいただいたが、衣の粗さがやはり気になった。
油は米油を使用しているとのこと。油キレはいいが、香りのコクがなく、やはりとんかつは食欲を刺激する、油の香ばしさが欲しい。
また、背油の下の赤い肉とその下の白い部分の肉の間にある筋に、十分に火が入れられておらず、噛みきれないという点からも油を2とした。
キャベツは、切り方が均一でないのが気になるが、歯切れ良くてみずみずしい。ソースはフルーティーな香りがあるが、やや甘く、もう少しすっきりとした味わいのほうが肉とのバランスがいいと思う。ニンジン、胡瓜、大根、胡瓜の糠漬けと、野沢菜のお新香は、どれも香りよく、真っ当な定食としての役目を立派に果たしている。赤だしの豆腐味噌汁とご飯は、標準的な出来栄え。
質の高い肉を使い、香の物もごはんも気を使っているだけに、衣と油がさらに見直しされれば、より素晴らしいとんかつ屋になるのではないだろうか。