東京とんかつ会議殿堂審議「とん太」
高田馬場「とん太」の特ロースカツ定食2100円
<肉3、衣3、油3、キャベツ2、ソース3、御飯2、新香3、味噌汁2、特記白身魚フライ1 計22点>
周囲に飲食店などない寂しい場所だが、開店前から行列ができる。
そのためフリの客は全くおらず、店内はとんかつ好きな人たちの静かな熱気が充満している。そんな中、ご主人が一人、黙々とかつを揚げている。もうそれだけで嬉しい。いい店である。
と低温からじっくりと揚げられるとんかつの衣は、中粗で淡い狐色。油切れよく軽やかで、サクッとした食感も心地よい。肉の断面を見れば、しっとりと肉汁が滲み出て、中心部をロゼに残した仕事である。
なにもつけずにそのまま食べれば、軽い衣の中で肉は優しい甘みに満ちて、きめ細かい。食べ終えた後に漂う甘い香りの余韻が、品のある菓子を食べた後のような穏やかさがあって、それこそが、このとんかつの特徴である。
自家製ウースーターソースは、甘みやうま味が勝ちすぎず、酸味や旨味のバランスがよいキリッとした味わいである。カツの甘みや衣と出会えば、別のうま味を膨らませるソースでもある。
キャベツはみずみずしく、味噌汁は、豚汁、しじみ、わかめから選ぶことができるのも上しい。特ロースカツの新香は、キャベツと人参、大根、蕪、胡瓜で、浅漬けながらとてもおいしい。
胡麻と小さなすり鉢が用意され、そこにソースを入れて漬けて食べる人もいるようだが、ソースはソースだけで食べた方がよりおいしい。胡麻は、そのままご飯にかけるか、塩と混ぜて、カツにふりかけても面白い
白身魚のフライは、魚の甘みをしっとりと残したまま、さくりと揚げて上出来。
食べた後に、また明日も食べに来たくなるとんかつである