桜色に染まった漬物を、一齧り。
痛快な音が響くと、ほのかな辛味が顔を出し、途端にご飯が恋しくなる。いやいや酒を相手にしても楽しいぞ。
日野菜漬は、微かな刺激を秘めた可憐な漬物である。
紅紫と白との配色美しく、すらりと伸びた肢体は、蕪というより、細大根と呼びたい姿。
漬物にすると、首と茎の紫が、胴体の白を染めて、見事な桜色となる。室町時代の昔より、後柏原天皇も和歌をお詠みになったという、滋賀の宝物。
旬は10月から12月頭
日野菜の語源は、原産地である滋賀県日野町に由来しています。室町時代、日野の領主が日野町の鎌掛(かいがけ)という地域でこの野菜を発見し、その特徴的な名前とされました