福井「ダイシン」「鮨凌」

巻物好き。

食べ歩き ,

私は以前、「マッキー巻物」として、danchu誌面に登場したほど、巻物好きである。
鉄火やひもきゅう、小肌とおぼろ巻やイワシとガリ巻、納豆巻やあなきゅうなども好きだが、実はかっぱ巻が好物である。
ゴマは入れないワサビと胡瓜だけのやつがよく、少しだけワサビを効かしてもらい、「チキショウめ」と、涙しながら食べるのが、好きだったりする。
しかしこんなカッパ巻には、初めて出会った。
醤油や煮切りではなく、塩、レモン、梅が上に乗っているではないか。
しかも器は、ロイヤルコペンハーゲンである。
塩はきゅうりの香りを立たせ、レモンはさわやかを加速させ、梅は旨みと酸味の中でみずみずしさを意識させる。
どれもアリである。
福井の寿司屋「ダイシン」にて
 
町寿司でも高級寿司屋でも、あれば必ずお願いするのは、干瓢巻きである。
ワサビは入れない。
だがこの干瓢巻、すごく難しい。
柔らかすぎても硬すぎてもダメで、ほんのりと存在感を示してほしい。
量も大切で、でしゃばっても引っ込んでいてもいけない。
酢飯とのバランス、海苔の質も重要である。
各所で頼むのだが、なかなかうなづける干瓢巻には、出会えない。
こちらでもお願いした。
33歳の職人である。
若さゆえ、どれだけのことができているか、食べてみたかった。
見た目はやや干瓢が多く、期待できない。
だが口にすれば、一体感があって、見事に調和している。
褒めると、彼はこう言った。
「ありがとうございます。どうしたら美味しくできるか、何種類も何種類も作って試行錯誤したのです」。
干瓢巻を褒める人は少ないだろう。
だが彼は理想を目指し、作り続けた。
福井「鮨 凌」にて。