台湾報告。3日目の夜は「茂園餐廳」へ。
黒板には名物料理である招牌菜が手書きされ、目の前には輝く魚たちが待ち構えている。
要はこれを片っ端から頼めばいいのである。
さて「茂園餐廳」の美味しいものを順にあげよう。
「白斬鶏(バイザンジー)」500元。
今回三箇所で茹で鳥を食べたが、群を抜いている。オーナーの弟が担当というこの茹で鶏は、塩と酒を揉み込んだ鶏を、茹でて火を止め、しばし蒸らすことがポイントだという。
微かに骨部分に血が残る精妙な火入れで、肉はしっとりと滋味をたたえ、皮はコラーゲンをを抱き込んで甘い。
もともと台湾は、暑いこともあって鶏が皮下に脂を溜め込まない。またよく動かせているのだろう、たっぷりのコラーゲンがあって、皮の食感もいい。
「老菜脯排骨湯(ラオツァイプーパイグータン)」380元
スペアリブと切り干し大根のスープである。
一口飲んた一同は、途端に顔が輝いて目を見合わせ、口々に「ハァ〜おいしい」とため息のような声を漏らした。
どこか懐かしい味がする、なんだろう。
干し椎茸の出汁に、昆布の旨味も感じる。豚の甘みもこっそり滲み出ている。
しかしこれは、干し大根の味なのである。
10年ものと20年もの! (写真の小さく色が茶色い方が20年もの)の干し大根を、豚スペアリブとともにじっくり炊いたスープは、揺るぎない温かみを内包して、心を揺さぶる。
「塩冬瓜蒸時節鮮魚(魚の蒸物の冬瓜の漬物添え)」。
ハタ科の魚を指差して蒸してもらった料理は、清蒸ではなく、冬瓜の漬物と蒸してある。
ハタの淡い、品のある甘みに、練れた塩気が寄り添って、なんともうまい。
上品だが、陰に一癖も二癖もある女性といった感じで、食べ進むに従って虜となっていく。
「滷豚脚&大腸(ジュージャオ&ダーチャン)」。
豚足と大腸の煮込み。
てれんとろんである。甘辛い煮汁と食べれば、豚足はとろんとと甘く崩れ、大腸はてれんと歯に絡む。
はは、もはや笑うことしかできない。
「扁魚白菜魯」
名物の白菜煮込み料理。
一口食べて崩れ落ちた。
白菜は、自分の持てる甘みを凝縮させながら、とろとろに煮崩れている。
入っていますものは、干しするめ、鮫の皮の干したもの、干しエビ、豚肉、椎茸、エノキ、にんにく、揚げ卵のみじん切り!!だそうである。
それらがたがいのうま味を交換しながらくんずほぐれつ渾然一体となって、白菜に溶け込んでいることを想像してほしい。
ああ、思い出すだけで、もういけない。
「炒水蓮(チャオシュエイレン)」240元
シャキシャキと香ばしい水蓮の炒め。
「花菜乾炒木耳」。乾燥カリフラワーと木耳の炒め。
食感は筍に似て、ほのかなえぐみのある乾燥カリフラワーが面白い
「菜圃蛋」切り干し大根のオムレツ。シンディちゃんとこでも食べたが、あちらは家庭風で、わざと油少なめで塩気多め(経済的でご飯がススム)。こちらは油をたっぷり使った、半ば揚げ焼き。
「ヘチマとハマグリの炒め」ヘチマの青足さが印象的。ハマグリの旨味がヘチマを持ち上げる。
蒜泥鮮蚵(スワンニーシェンカー)牡蠣のにんにくソース・小ぶりな牡蠣がうまい。生ニンニクが苦手な方は避けたほうがいい強力なソース。
以上まだまだ頼みたいものはありましたが断念。
実にいい店です。