仔鳩の香りが爆発した。
手で持って齧れば、血の香りが破裂して、口の中を蹂躙し、鼻に抜けていく。
サクッと香ばしい、コクのある衣と鳩のエキスが入り混じり、鼻息が荒くなる。
「んん」。「ああ」。「むむう」。
ローストにするより香りが高まった「仔鳩のフリット」のコーフンに、一同呻き、ため息をつくことしかできない。
さらには兎のレバーのクロスティーニに、夏トリュフをこれでもかと削れば、トリュフの妖艶とレバーの猛々しさが舌の上で接吻して、もう勘弁してくださいと言いたくなる官能が体を駆け巡る。
亀戸「メゼババ」。驚きの13皿の内のたった二皿でこうである。
仔鳩の香りが爆発した
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