五幕は、マリアカラスだった。
生まれ故郷のギリシャでおなじみの 赤レンズ豆の上で、車海老が横たわっている。
その華奢な身は、優しい甘みを湛えて、命の強さを伝えようとする。
周りに配された透明なゼリーは、大根だという。
それは固まるギリギリでまとめられ、口に入れた瞬間に、淡雪となって消えてしまう。
大根の持つ、繊細な甘みだけを口に残して。
彼女のソプラノが、たくましく生き抜こうとする女性たちの凛々しさを表しながらも、一方で触っただけで砕け散ってしまいそうな、脆弱な切ない美しさを表していたように、海老と大根は互いを認め合いながら、引き立て合い、溶け合い、人生の無常を伝える。
「サンバウ」のか今回の両立テーマは、「オペラ」。カイロの鵞鳥、三大テノール、フェガロの結婚、リセウ劇場、ノルマ、カルメンなどを題材にして、食卓の幸せを作り出す。
その全容は、タベアルキスト倶楽部にて、後ほど