フォアグラやキャビア同様、フカヒレはまだまだ世間では高級食材のイメージである。
だがともすると、そのイメージゆえに商売に利用されてしまう。フカヒレを使用するだけで高価な価格をつけたり、本来は適正であるにもかかわらず、安価な値段に見せかけてお値打ち感を強調することもできる。実際はフカヒレといっても千差万別で、産地、種類、ヒレの部位、大きさ、加工業者などで価格が大幅に違うのである。であるから、フカヒレというだけでありがってはいけない。と、いつも自分を戒めているのだが、なかなか食いしん坊心がじゃましてしまうのが現状だ。
そんな世相を反映して、「礼華」の「フカヒレスープ麺」も人気の一品で、昼は大勢の客が注文して楽しんでいる。ただし、フカヒレ料理を店のひとつの自慢にしている店だけに、凡百のフカヒレそばとは一線を画している。フカヒレをこれ見よがしには入れ込まず、細麺をすすれば時折その食感にあたる程度だが、スープ全体にフカヒレならではのコラーゲンがいきわたるような味わいに仕立て、細いながらフカヒレ一本一本にも切れのいいスープの味がなじんでいる。こっくりとした甘味とうまみを持つスープ麺を食べ終わるころには、口の周りがねっとりと粘りつくといった具合。このフカヒレスープを餡にして、熱々ご飯にかけた「フカヒレスープ丼」も、もちろんおすすめしたい一品である。これからの季節、新宿御苑の緑に面したテラス席でいただくのも気持ちがいいだろう。
写真はイメージ
礼華
新宿区新宿1-3-12 壱丁目参番館1F