パスタを食べに、銀座に出かけよう。
まずは、「Buono Buono」だ。三笠会館が経営する中北部イタリア料理を中心とした店で、パスタを食べようという魂胆である。
一皿目は人気の品だという、定番のトマトソースを使った、リングィーネ。リングア・ディ・パッセロ(雀の舌)が語源とされ、断面が楕円でざらっとした表面のパスタである。
魚介のソースと相性がいいことで知られるが、トマトソースにもよくからむ。バターのコクが、丸みのある味を生み出していて、食べた瞬間、ニコリと笑いたくなる。
次に今の季節なら、茸のパスタがいい。「フンギポルチーニをあえたフレッシュ・タリアテッレ 軽いクリームソース」である。
タリアテッレはリボン状の平たいパスタで、鶏のブロード、牛乳、生クリーム、仔牛の出汁。炒めた香味野菜、バター、エキストラバージンオイルで仕上げる。濃厚なうま味の中から茸の香りが弾ける、深い秋を感じさせるパスタである。
秋が深まれば煮込んだソース、ラグーも恋しい。そこで、「ホロホロ鶏のラグーをあえた太パスタ キタッラ サルビア風味」といってみた。
□この麺は、生地をギター弦のような細い糸を張った木枠に押し付けて作ったことより、イタリア語でギターを示す「キタッラ」と名づけられた。断面が四角く、太い麺である。
ホロホロ鶏を丸ごとローストし、出汁を取り、煮詰め、香味野菜や赤ワイン、トマトペーストを入れて煮込み、生のセージで香りをつけた、ソースである。
濃縮した、深く複雑なうま味が、太い麺とがっぷり四つを組んで、しみじみおいしい。寒くなってくると増々輝きを増す料理である。今の時期には、鴨のラグーなども登場するので、ぜひ試されたい。