サラダのうまい店は料理がおいしい。
そのことを強烈に印象付けたのは、三谷シェフのサラダだった。
塩と酢が立っていながら、まろやかでバランスが良いこと、そして葉の一枚一枚にヴィネグレットが、均等にまとわりついていることが肝要だと思う。
この店の「リヨン風サラダ」も秀逸である。
おいしいサラダの条件が整っていて、葉が生き生きと舌に迫ってくる。
サラダという料理の素晴らしさが輝いている。
聞けば、酢は赤ワインヴィネガーとシェリーヴィネガーだという。
「ただし赤ワインヴィネガーは、スペインさんの安いのを使っています。そうでないと酸味が立たないものですから」。
この言葉にこそサラダの真実がある。
「ジャンボンペルシェ」のピクルスを使ったソースも、海老の甘みが全体に行き渡った「エビとマッシュルームのグラタン」も、そしてシャルキュトリーてんこ盛りの「ナポリタン」も、それぞれの料理における大切なものが貫かれている。