京都市内は、観光客でごったがえしているが、ここは人っ子1人いない。
平日の昼下がり、1人御陵で飯を食う。
メモには「ここでカレーラーメンを食べろ」と、あった。
息子とお母さんの2人で切り盛りされている店に入ると、客は私1人である。
まずは前菜に、串カツと、サッポロ黒ラベルの中瓶をお願いした。
運ばれた串カツは3本で、揚げきりがいい。
食べ終わる前に、「カレーラーメン と玉子丼のセット、ご飯少なめで」と、注文した。
やがて厨房から漂ってきたカレーの香りが、胃袋をくすぐる。
ほどなく、セットが運ばれた。
丼とラーメンから立ち上がる、湯気が眩しい。
スープをすすれば、舌を、唇を、上顎を、ヒリリと辛味が打ちつける。
そこですかさず玉子丼をかきこむ。
玉子丼は、京都らしい優しい出汁が効いていて、口の中に残る辛味を、和らげる。
辛い、柔らかい。辛い柔らかい。
このツンデレの食べ合わせが、ハマるのだなあ。
カレーラーメンは、もやしのヒゲ根と豆は取られ、ロース肉の煮豚は味が染みて臭みは微塵もない。
そんな誠実な仕事に加え、青ネギが別添えなのも良い。
シャキシャキとした食感が生き、甘みと辛味をアクセントにしながら、カレーラーメンにリズムを作ってくれる。
最後は、残った出汁の染みたご飯をレンゲですくい、カレースープに浸して食べてみた。
これもまたツンデレの流れで、カレーが来てからごはんが追いかけるのだった。











