我々の世代は、「ピッツァ」ではなく、「ピザ」で育った。
いち早く海外の食文化を取り入れる東京も、20年前まで「ピザ」だった。
そんな東京のピッツァシーンが変わったのは1995年、柿沼佑武さんが中目黒に「SAVOY」という店を作ってからではないだろうか。
なにしろ店には、「マリナーラ」と「マルゲリータ」の2種類しかなく、ピッツァがなんたるかを知らなかった我々に、ナポリピッツァの真髄を教えてくれた。
その後多くの店ができて、今都内には、ピッツァの店が、400軒近くある。
今回ご紹介する店の太田賢二氏は、ナポリの「マリーノ」で修行したという。彼は、生地の加水量を高めて、軽く仕上げるのが特徴で、加水量に合わせて、適切な発酵、打ち粉の量、窯の温度を調整し、風味豊かな生地を焼き上げる。
香ばしく焼き上がったピッツァを、口に運ぶ。
噛んだ瞬間、粉の甘い香りがたって、モチッと弾みながら軽やかに消えていく。
裏面もきれいで、焦げた香りが邪魔することなく、粉の香りを引き立てる。
この軽やかさと香ばしさは、実に危険である。
一枚200gながら、次々と手が伸び、頭の中で誰かが、「もっと食べられるよ。もう一枚頼もうよ」と、囁きかける。
つい、もう一枚頼んでしまうのですね。
でも、そんなピッツァをこよなく愛するのです。
武蔵小山「ラ・トリプレッタ」



