なめていた。
北欧美人のウエイトレスが、テーブルにドンと置いたナイフフォークの量から予感がしたが、なめていた。
最初の夜は、1927年から続く、ヘルシンキで最も古い「ラヴィントラ・サルヴェ(Ravintola Salve)」にでかけた。
船の舵や錨、縄や旗などが飾られた店内は、日本の店と比較するのもなんだが、横浜「スカンディヤ」である。
というより「スカンディヤ」が模したのだろうけど。
まずは「鮭のスープだろう」と、現れたスープにその量の予感があった。
鮭脂の香りとコク、ジャガイモの甘み、デイルの香りが優しく溶け合うスープは、素朴で温かい。
添えられしライ麦パンを、漬けてもいい。
そして当店の名物、「鰊のフライ」。
ああこれを一人で食べるのが、当たり前なのか。
当然ながら他テーブルのフィンランド人(たぶん)は、老いも若きも、女性も軽く平らげている。
しかし小ニシンとはいえ12匹ですよ、旦那。
しかも下には推定、200g越えのマッシュポテトが鎮座なさっているんですよ。
フライというより素揚げで、ライ麦粉のパン粉をはたいたニシンを、フライパンの上で油をかけながら、揚げるのだそうな。
にしんは、大人ほどの味の濃さは無いが、特有の身の柔らかさに、親を感じさせる味のコクがある。
そして「グリルドサーモン」。堂々たるもんである。
厚さ3㌢!のハッシュドポテトが二つ。
レモンを滝のようにかけ、バターを塗りたくって食べる。
鮭より素晴らしいのがハッシュドポテト。
カリッと歯を立てれば、なんとも甘く、ふわりと舌の上に広がっていく。
夢見心地にさせるのだが、もうこれ以上は食べられません。
なめていた
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