それは、パンナコッタらしく、テーブルに置かれた瞬間フルフルと震えた。
皿を持ってとりわけしようとすると、またフルフルと、体をゆする。
いやいやをしているようでもあり、早く食べてと誘っているようでもある。
口にツルンと滑り込ませると、ひんやりと舌に着地して、崩れていく。
ああ、とうもろこしだ。
ペコリーノの塩気に助けられながら、ヤングコーンのつたない甘みが、優しく広がって、喉元に落ちていく。
とうもろこしのパンナコッタ。
そう。今から素敵な夏の夜が、滑り出す。
四の橋「ロッツォ・シチリア」初夏を彩る前菜。
それは、パンナコッタらしく
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