その肉まんはさりげない。

食べ歩き ,

その肉まんはさりげない。
形もどうだっという大きさではなく、普通である。
だが口をあんぐりと開けて噛んだ瞬間に、皮の香ばしさに気づいてニンマリする。
といって、その後に、肉のアンがうまさを主張してくるわけではない。
アンのうまさの品が、皮との一体感を生み出していて、あれ?もう食べてしまったんだと思うほど、するりと食べ終えてしまう。
つまり素直な美味しさである。
皮の厚さを均一にし、皮の香りを邪魔しないうま味のあるアンを作り、皮とアンの量の均整をとりながら空洞は作らない、素直な味である。
でも今の時代、この素直さをきちんと出せる人はいない。
だから食べ終えて、もう一個食べたくなってくるのだ。

浅草「龍圓」の肉まん
 どうやら非売品らしいが。