渋谷の道玄坂に、飲んでも飲んでも酔わない店がある。
日本酒を適温で燗をつけ、出してくれるのだが、通常でほろ酔いとなる量となっても、ちっとも酔っていない自分に気づき、驚くのである。
スパリブを飲んでいるのでも本気水素(その話はまた今度)を飲んで来たわけでもない。
その夜は、5合ほど飲んでも、ちっとも酔っ払わなかった。
翌朝も「あれ昨日は飲んだかな」と思うくらいにスッキリである。
その理由を尋ねると、店主と店員が二人で寸劇をしてくれた。
なぜ燗酒が酔わないのか、わかりやすく笑いをとりながら演じてくれる。
店主は、論文を読み込んでその事実を解明したのだという。
元ボクサーの店主の説明に合点がいった僕は、あれからずっと燗酒を飲んでいる。
だがあの店のようにはいかない。
酔ってしまう。
こうして、日本酒に敬意を払った燗酒の温度が、いかに素晴らしかったのか、改めて感心する毎夜を送っている。
閉店