明日菰田さんが「あさイチ」で青椒肉絲の秘訣を披露するという。
そのことで突然思い出した。
西麻布「翠園」である。
西麻布交差点近くにひっそりと佇む中国料理店で、20数年も通い続けた店であった。
料理はいずれも真っ当を貫いて、それぞれの料理の目的がなんであるかが明確に調理されている。
「青椒肉絲」は、運ばれてきた瞬間に、ピーマンの青い香りに顔が包まれる。
肉、ピーマン、筍は、確かな板の技で、同寸、同幅に切ら、砂糖やオイスターを多用しない、潔い味わいだった。
僕はこの店で、「青椒肉絲」の意味を知ったのである。
それが定食になって千円で食べられるのだから、この店ほど良き東京食文化を体現している店はなかったと思う。
その他、「セロリとレバーの炒め」レバーとセロリの切り方。
噛んだ瞬間に、肉汁がほとばしる、焼き餃子や水餃子。
「野菜とすみイカの炒め」のイカと野菜のバランス。取り合わせ。
あっさりとした味わいの炒飯。
余計なうまみがない「高菜と豆腐のスープ」。
ずべてがすっきりと素直でおいしい。
いついっても空いていたが、世の中コスパコスパと騒ぐわりには、こういう店が混まないこともまた、東京食文化の別の意味の象徴でもあった。
残念ながら「翠園」は2015に店を閉じた。
どなたか、こんな店をご存知ないですか?