「羊焼甲魚」。羊とすっぽんの朝鮮人参煮込み。
魚と羊。
古代中国にて「鮮」の文字を生んだ料理は、両者が互いのくせを巧みに抱き込んで、丸い小宇宙を生んでいた。
相当辛いが、最初は気づかないほど、味に埋没し、ただただそのまろやかな滋味にため息をつく。
食べれば食べるほどに、すっぽんと羊が出会って誕生した味の不思議が膨らんでいく。
そこの微かに朝鮮人参の苦みがアクセントする、小憎らしさ。
ご飯を合わせたらうまかろう。米粒の白が見えなくなるほど混ぜたらうまかろう。
そう思いながらも我慢し、押し寄せるうまみがなくなっていく悲しみを噛みしめ
椀を舐めるようにして空にした。
銀座「趙楊」すっぽん三種料理の一皿。
「鮮」の文字を生んだ料理
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