「WEST」のタマゴサンドは、端正である。
育ちの良さが見て取れる。意外にもヴォリューミーで、玉子の味がしっかりとしているが、そんなことは微塵も感じさせずに、すましている。
バンは白バンとライ麦パンが選べ、トーストかそのままが選べるが、白パンならトースト、ライ麦ならそのままが良い。
横にして食べるとタマゴが飛び出るので、縦、つまりバンを左右に配置して食べる。
カリッとバンが音を立て、シャキッとレタスが叫ぶ。
タマゴか舌に広がる。むむむと、あまくひろがって消えていく。
マヨの味が強すぎず、黄身の甘みが素直につたわるのがいい。
きっと白身と黄身を分け、黄身にマヨを混ぜ込んでから、刻んだ白身とまぜているのだろう。
白身を均一の大きさに切っているのが素晴らしい。
僕は、まずそのまま食べる。
途中でちぎったパセリをはさんだり、剥がしてレタスにレモンをかけ、塩を少しかけ、元の形に戻して食べる。
一口目は縦で、二口めは横で。
モーツァルトやブラームスを聞きながら。
こうして「WEST」の午後は、穏やかに過ぎていく。