１２ミリに、決まってるでしょ

• 魚介

「１２ミリに、決まってるでしょ」。 詳しい方に蒲鉾の切り方をたずねたら、当然のように答えられた。 恥ずかしながら、長い蒲鉾人生で12ミリを意識したことがない……

キスが上手な

• 東京,
• 割烹,
• 赤身魚

キスが上手な女（ヒト）だった。 濃密に舌をからめて翻弄し、もう少しという余韻を残して、唇を離してしまう。 男を焦らし、もてあそび、恋に誘い込む。 軽く味噌……

タリアテッレ

• 東京,
• イタリア料理,
• 川魚　淡水魚,
• 果物,
• パスタ

タリアテッレ　うなぎとレモンのクロカンテ　 卵黄と粉で練った麺を乾燥させて熟成させたタリアテッレは、かすかな歯ごたえを残して、我々の歯を喜ばす。 これ以上で……

富山という土地の豊穣

• 和食,
• 白身魚,
• 富山,
• 割烹,
• 野菜,
• 根菜,
• 甲殻類,
• しる汁物

静かなお椀だった。 一口。淡い滋味が忍び寄る。 新湊の鱧は、動物的なたくましさを広げ、れんこん餅は、素朴な甘みで心を包む。 その対比を、仲睦まじく感じさせ……

君はこんなにも品があったんだね

• 白身魚,
• 岡山,
• すし

君は、こんなにも品がある奴だったんだねと石鯛は、微かな青い香りを抜けさせながら、上品な甘みを忍ばせる。 か細き柔らかな香りを漂わすさよりは、たくましい食感から……

ハマグリは濡れていた

• 東京,
• 貝類,
• てんぷら

ハマグリは濡れていた。 体液を滲ませて、じっとりと濡れながら、囁いている。 見ないで。早く食べて。 熱々を口にすれば、まだ生の気配があるのに加熱された甘さ……

服部すっぽん

ぷつっ。

• 東京,
• 和食,
• 雑炊　おかゆ,
• 魚卵　白子,
• 川魚　淡水魚

ぷつっ。 スッポンの卵はかすかに抵抗してつぶれ、命のしずくを舌に滴らせた。 甘い。 いや、甘いという味覚を超えた、抱擁の味わいがある。 舌や上顎を、生命の豊か……

「焦らさないで」

• 白身魚,
• 割烹,
• 広島,
• 居酒屋,
• 貝類

「焦らさないで」。僕はサワラに、そうお願いをした。 脂がじっとりとのっているのに、品がある。 気高いシルクのブラウスで包んだ色香が憎い。 なんというサワラ……

新橋「久」

海老フライはお好きですか？　

• 海老,
• 東京,
• 揚げ物,
• 洋食

海老フライはお好きですか？　 僕は、子供の頃より大好物です。 親に連れられて、洋食屋やお好み食堂に行くと、オムライスやお子様ランチには目もくれず、海老フライば……

皿から自分の個性を消したら

• 肉,
• 魚介,
• フランス料理,
• 野菜,
• 福島

「皿から自分の個性を消したら、野菜の香りがしたんです」。 いわき市のフランス料理店「Hagi」の萩春朋シェフは、訥々と話しだした。「世界中から集めた食材を使っ……