Solong vol2
その店はビルの一角に、ひっそりとあった。
店といっても営業するのはまれで、年6回くらいしか営業しない。
目の前で麺を打ち、採算を無視した、どこにもないスープと合わせ、極上のラーメンを作る。
やまどりやシャポーなどの鳥たちの滋味が溶け出したスープは、深く、濃く、たくましい。
麺は、すり抜ける唇への優しさを持ちながら、歯の間で軽やかに弾んで、小麦の甘い香りを滲ます。
噛む喜びを与えてくれる麺であるから、たくましいスープと響きあいながら、高みに登っていく。
そこへセリの強い香りがアクセントして、スルスルと胃袋に収まっていく。
ううむ。素晴らしい。
阪田さん、サキちゃんありがとう。
店は無くなるけど、又どこかで作ってね。
さようなら 麺屋沙樹。
閉店