ReFish」

食べ歩き , 寄稿記事 ,

魚好きである。

居酒屋では、刺身を頼まなければ気がすまず、珍しい魚があれば、直ちに注文する。

釣りこそいかないが、出刃や刺身包丁で、自らさばき、数々の料理を作ってきた。

食べ歩くことを生業にしている関係上、ある程度魚には詳しいと自負していた。

ところが57歳にして「ReFish」の面々に出会い、まったく無知であったことを、思い知らされたのだ。「ReFish」とは、日本人の食の根源である「魚食の復興」、と、「水産物を中心とした日本の食の再構築」を目指すプロジェクトである。

とこう書くと、難しそうだが、要は、魚をもっとおいしく食べようじゃないかという、楽しい集団なのだ。

切り身しか知らない子供や、料理をしない母親が増えていく現代では、魚食が衰退していく、という危機感を抱く人達の集団なのである。

メンバーは、リーダーの水産丁上田勝彦氏をはじめ、築地尾辰商店の河野竜太郎氏、銀座割烹智映の北山智映さんなど、いずれも劣らぬ、魚愛に満ちた面々だ。

Re-Fishでは、ライブハウスを借り切っての魚料理宴会や、海釣りとBBQなど、おいしいイベントを行ってきたが、その一つが、青山マルシェへの出店である。

青空の下での魚宴会

4月末に行われたそれは、先のメンバーに加え、浦安の佃煮屋、「西敏」の大塚宏一氏、浦安の鮮魚店「二代目丸勘」の泉澤悟氏が参加。丸勘の魚介を買うもよし、それを北山氏と上田氏が乗ったキッチンカーで、調理してもらうのもよし(一匹調理代金三百円)という、仕組みである。

早速購入し、浅蜊より味濃きホンノビス貝の蒸し、水蛸の吸盤と青柳の炙り、穴子と鰈の塩焼き、カレイ煮つけ、小肌刺しを頼んだ。

出来上がった料理が、次々と卓上に並ぶ。焼けた魚介の香ばしさに、顔が包まれる。

食べればほの甘く、海の滋養が滲み出る。顔は思わず崩れ、小宴会状態である。

「こんな日差しの下で食べるのはやだ」と言っていたカップルも、我々の皿を見て、「おいしそう」と買いに走る。

目の前では、五歳くらいの女の子二人が、青柳とホタルイカを酢味噌につけ、にこにこしながら食べている。

そうこれだ。今度は家族や友人を誘おう。こんな素敵な休日の過ごし方もあるよって。

魚食の復権とは、日本人の中に受け継がれてきた、魚感の喜びを蘇らせることなのだ。①青山マルシェ「ReFish」の会場。正面がキッチンカー、右手奥の軽トラックが魚屋だ。青空の下でほおばる魚の、おいしいこと。

②佃煮屋「西敏」。無添加の素材が生きた佃煮が、ご飯を呼ぶ。特に貝ヒモがたまらない。特選の海苔もお奨め。

③ずらりと並べられた、「丸勘」の魚介類。鮮度と質が高く、種類が豊富で、価格も安いゆえ、目移りし、沢山買い込みたくなる。

④調理したての魚介類。香りよく、力強く、酒やご飯が進むことこの上なし。

⑤マルシェに集結した、「Re-Fish」の面々。向かって左から泉澤悟氏、河野竜太郎氏、上田勝彦氏、北山智映氏、大塚宏一氏。