おいしい日記
-
熟れてこそ美しく、海深くきれい
食べ歩きどこまでも、「きれい」である。 熟れた塩気とうま味が、舌に流れ、甘い余韻だけを残して消えていく。 一切の雑味もエグミもなく、優しい、澄んだ命の香りだけを……
続きを読む -
艶かしい
食べ歩き艶かしい。 噛めば、しなやかな肉の躍動があって、甘い命がしたたり落ちる。 2キロ以上あるナメタガレイを骨つきのまま炭火焼にし、骨を抜いいて元の形に戻し、……
続きを読む -
深夜の洋食は蜜の味
食べ歩き深夜の洋食は蜜の味がする。 ここは、かつて一流シェフたちが夜な夜な訪れていた、洋食屋である。 「ボラーチョ」、つまりスペイン語で「酔っ払い」を意味する店……
続きを読む -
料理と音楽は、似ているのだろうか(その2)
日記料理と音楽は、似ているのだろうか(その2) 最近まずい料理になかなか出会わない。 30年前の街中には、ゲッ!というようなまずいものがあった。 しかし……
続きを読む -
料理と音楽は、似ているのだろうか(その1)
日記料理と音楽は、似ているのだろうか(その1) 料理にはレシピが、音楽にはスコアがあって、何度も再現可能だが、作り演じる人によって、完成形が異なってしまう。 ……
続きを読む -
それは確かな意識があった
食べ歩きそれは確かな意識があった。 とうの昔に成仏されて、干され、遠方まで運ばれ調理されたというのに、人間を焦らす意識があった。 食べるとねちっと歯が包まれ、噛……
続きを読む -
街道沿いにぽつねんと佇む食堂の
食べ歩き街道沿いにぽつねんと佇む食堂の、出来ますものは、熊に鹿、ハクビシンにアナグマ、猪にそば。 目がぎょろりとした店主は60くらいか。熊の味を訥々と、それも徳山さ……
続きを読む -
海に下ったヤマメは
食べ歩き海に下ったヤマメは、昆虫食から脱して、イワシの稚魚などを食べはじめた頃だろうか。 出始めのサクラマスは、脂という艶をようやくつけはじめた気配を、舌に漂わす。……
続きを読む -
新宿「つな八」
春に深々と感謝する。
食べ歩きようやく春が来ましたね。 東京でも、ウグイスが鳴き、梅の花が咲き出しました。 この季節は、冬に甘さを蓄え、空に向かって伸びんとする、野菜が愛おしい。噛めば、切……
続きを読む -
電気を消すと
食べ歩き電気を消すと、小さな小さな青白い光が、灯った。 消えゆくような弱々しい光だが、命の存在を歌う自由がある。 さっと茹で上げ、小鉢に入れた。 熱々の身体……
続きを読む