札幌「セミーナ」

6月から8月までしか作りません。

食べ歩き ,

一口て、トマト畑に運ばれた。
太陽を浴びた力強い香りに包まれ、体が清められていく。
「スパゲッティポモドーロは、6月から8月までしか作りません」。
新十津川町の清野ファームのトマトを、皮だけ剥いて、冷蔵庫に用意する。
注文が入って、パスタを12分茹でる間に、鍋に入れてつぶしていく。
「だから、リゾットより、鍋前を離れることができません」。
12分間、火加減に気を配りながら、優しくつぶしつぶして、サルサは出来上がる。
一口食べる。
「生きてるよ❗️」と、トマトが叫ぶ。
トマトを枝からもいだ瞬間の青い香り、穏やかな、甘すぎない甘み、柔らかな酸味。
すべてが丸く一つになって、唇から舌、喉に向かって滑り込む。
正直このパスタを食べるためだけに、この時期に札幌へ向かいたい。
そう思わせる味である。
田中シェフが、トマトへ敬意をはらい、誠実に向き合ったソースは、かぎりなく自然で、心を安らかにさせる力に満ちていた。