富山 岩瀬「御料理 ふじ居」

50匹の鮎と料理の品

食べ歩き ,

50匹の鮎が睨んでいる。
「お前に私たちを食べる資格があるのかい?」と、問うてくる。
「うちは、鮎の出汁ではなく、昆布鰹の出汁で炊くので、たくさんの鮎を使わないと味が乗らないのです」。
藤井さんはそう言われた。
ほんのりと色がついたご飯に、鮎の味わいが、ひっそりと沁みている。
これだけの数の鮎があっても、強制はしない。
うっすらと主張しているところがいじらしく、心を温める。
これこそが、料理の品なのだろう。