根岸香味屋のオムライス
ご存じ、洋食屋の名店。何をいただいてもぶれがなく、日本人が生み出した洋食の矜持が、丁寧な仕事に生きている。
オムライス(二千円)は、実にシンプルなお姿。白皿の上に、滑らかできめ細かい肌をしたオムライスが佇む。
ケッチャップはかけらていないれていないので、なおのこと麗しさが際立つ。なによりチキンライスがいい。
ケチャップが勝ちすぎず、ご飯の旨味感じさせる味付けで、玉子に優しく抱擁され、なおのこと輝く。
玉子の半熟具合、厚さも申し分ない。
この玉子とチキンライスだけの関係で、この料理の楽しさは十分だが、途中から、店特製のウースターをかけることをお勧めしたい。
オムライスを割り、チキンライスの方に数滴かければ、ソースの香ばしさが鼻に抜け、また品のある甘酸っぱ辛さが加わって、スプーン持つ手が皿に止まらなくなること必至。
チキンライスは、玉葱、グリンピース、マッシュルーム、鶏肉、ピーマン入り。薬味にラッキョウ、福神漬け、胡瓜のピクルス。
後味の余韻が、なんとも穏やかな気分を呼ぶ、オムライスである。