豚が喜んでいる。
分厚い肉を噛みしめた途端、豚が躍動した。もっと噛め。噛んで噛んで、味わいつくせ。そう叫んでいる。
ポークストックは、豚肉料理を中心とした店である。店主兼料理人である諸橋新之助さんが孤軍奮闘をし、ご両親がお手伝いをしている、小さな食堂である。。
豚肉を料理の中心に据えたのは、前職で出会った鹿児島の肝付完全放牧豚に出会ったからである。広大な自然で、愛情に満ちて育てられた四元豚の素晴らしさを伝えたい。その一心で、店を開かれたという。
肉つきよく、健やかに育てられた豚を生かすため、しっかりと炭で火を通し、滋味を極限まで醸し出している。きめ細かい肉には、噛む幸せがあり、締まった脂は、歯が包まれる喜びありながら、さらりと溶けていく。そして熟成されているため、香り高く、少しエロい。
肉の香りが弾けるハンバーガーも、豚の為に味を抑えたバンズを作り、優しい味わいのケチャップを作った。
敬意をこめて料理された豚は、幸せに満ちて、それは我々を、健やかに上気させる。
閉店