東京とんかつ会議185銀座「結絆」薪焼きロースカツ定食4800円

とんかつ会議

東京とんかつ会議185銀座「結絆」薪焼きロースカツ定食4800円
肉3油3衣3キャベツ3ソース3ご飯3味噌汁3お新香2特記なし合計23点
「東京Xのロース肉250gでございます」。
割烹のカウンターに座って、とんかつ定食を頼むと、磁器皿に置かれた生の豚肉が差し出された。
おそらくロースでも肩ロースよりの部位だろう、脂の白と肉の薄赤色の対比が美しい。
肉は厨房に戻され、塩と胡椒が振られた。
いざ衣をつけ、揚げられるのかと思いきや、まったく違った。
厨房内の薪火の上に置かれたのである。
しかも熱源からは、一メートル弱くらい高い位置に置かれている。
おそらくじっくりと温められているのだろう。
低温から徐々に温度を上げて揚げる店があるが、あれと似た原理だろうか。
実に理にかなっていると思って見ていると、今度は燻しだした。
桜のチップだという。
数分燻すと、ようやく衣の出番となった。
丹念に衣をつけ揚げ始める。
揚げる。
そして切られ、とんかつは目の前に登場した。
事前に温められているため、中心部だけロゼでなく、一面均一ロゼ色で美しい。
しかも切り方が、異様だった。
今まで200軒以上とんかつ屋を巡ったが、こんな切り方は初めてである。
一枚のロースが三種類の切り幅で整えられている。
つまり通常のとんかつの左部分は厚く、中心部分はそれより幅が狭く、脂と肉が同率である右部分のかぶりは、細い幅で切られている。
まず真ん中部分から食べてみる。
口をあんぐりと開けると、甘い香りが漂った。
まごうことなきラードの香りである。
聞けば東京Xの背脂を炊いているのだという。
自家製ラードを炊いているというのは、全国でも知る限りこの店と御徒町の「ぽん多」だけである。
肉はきめ細やかで、甘い香りに満ちている。
そして切り幅の違いによって、それぞれの部位を楽しめる。
厚く切られた部位は、肉をかみしめる喜びがあり、中間部は、肉と脂が抱き合い、同時に溶けていく感覚があり、細い部分は、脂が軽やかに感じられる。
衣の粗さと肉とのバランスも、よく考慮されている。
これは料理としての最良方法であり、割烹がとんかつという料理に出した、一つの正解だと思う。
脇役陣も秀逸である。
つやひめは、おくどさんで炊いた炊きたてであり、豆腐の大きさが豆腐の甘みを生かす味噌汁は香り高く、トリュフ入り自家製ソースは甘すぎずに品があり、紫蘇入りキャベツは細く整えられている。
しいて難点を上げれば、お新香の代わりの生姜の甘酢漬けは、とんかつの味を切ってはくれるが、とんかつの質の高さに比べると、和定食の魅力に乏しく、やはり定番のぬか漬けが欲しい。
脇に添えたマヨネーズもいらないと思う。
またこれだけキレのあるソースならトリュフ香はいらないのではないか、さらにソースと共に添えられる、にんにく醤油卵黄は、味がうますぎるので、やや過剰になってしまう。
その辺りを改良整理すれば、満点に近づくことは間違いない。予約が必要です。